小山静子教授には、民主主義の効用最大化を学びました
京都大学在学時はお世話になりました
-最終更新日:2023年8月7日(月)-

小山静子教授は、私が当初の4年間、ほとんど単位が取れなかった時期を経て、復学した際にお世話になりました。教育学基礎論のディベートの授業は鮮明に覚えております。楽しいゼミでした。
なお、小山教授の専門はジェンダー日本史ですが、その授業で、一番記憶に鮮明に残っているのが「分厚い中間層が民主主義を効用最大化する」といったものです。他のことをあまり覚えておらず、誠に申し訳ないのですが、これがその後の私の思想の核になりました。
当時、2000年初頭、まだ日本社会が新自由主義にひた走る直前でした。最後の社会民主主義を日本が謳歌している状態でした。ジェンダー論も、テレビで田嶋陽子さんなど活躍され、日本で最も花の学術領域ではなかったかと思います。
その後、日本社会が、新自由主義時代へと突入し、我々社会民主主義勢力には暗黒時代となりました。先生はどうお過ごしでしたか?大変な思いをされませんでしたか?
当時、私の指導教官の皆さまの評価は、内々には精神疾患者だったのではないかと思います。それを、すべての教官の皆さまに健常な学生として扱っていただきました。この自己肯定感が社会人になったときに、ひたむきに努力できる結果につながりました。
誠にありがとうございました。かけがえのない思想をいただきました。どうかご健康で ^^)
普及価格帯に神が宿る
分厚い中間層が民主主義を効用最大化させる根拠
-最終更新日:2023年8月12日(土)-
この項に追記しておきます。
私の一番好きな車は、カローラとプリウス、アクアです。これ以上のものは必要ないです。普及価格帯なので、最も原価率が高く、開発コストもかかっています。開発のための人的リソースも最高の技術職の方々が投入されています。
分厚い中間層の社会になればなるほど、このような製品がますます売れます。そうなると、さらに開発コストが投入され、いい製品になって登場します。
日本の1990年代までの社会民主主義社会では、このような普及価格帯の製品が主に世界に輸出されました。まじめな国民性も相まって、神が宿っていました。この神話が、新自由主義社会で崩れました。
新自由主義社会では、製品は二極化します。粗末な安い製品と、原価率の悪い割に合わない奢侈品です。やはり、新自由主義による独裁化は、人類の理想社会じゃない気がします。
往年の北欧型福祉国家は、アメリカやイギリス、欧州が新自由主義で儲けることができていたその恩恵を受けて栄えたと言われています。新自由主義がリーマンショックで失敗した時に、スウェーデンは巨大な財政赤字を抱えました。このような歴史的事実が社会民主主義社会の存続の困難さを物語っています。
私は日本社会で一番の民主主義の黄金期は、1990年代までの社会民主主義時代だと思っています。しかし、これから、資源のない日本はますます新自由主義思想が重要になってきます。このような中で、どのように日本の民主主義を効用最大化するかが課題になってきます。
とりあえずの解は、新自由主義セクションと社会民主主義セクションを多元同居化することです。サラリーマンや開発職の方が新自由主義制度で稼いでいるなか、社会民主主義セクションの対人援助職が手厚いサポートを行ってお互いを侵犯しないといったようにです。貧困になったら共産主義を頼ればいいです。世界平和貢献をしたくなったら一番ノウハウを持っている新興宗教団体を頼ればいいです。これらの多元イデオロギーの狭い国家での同居がこれからの日本社会の課題になるのではないでしょうか。やはり、ジェイコブ卿がおっしゃるように、暴力を伴った闘争は、もう人類に不要です。
取り急ぎ素描まで。小山さん、思想の核となるアイデアをいただきました。ありがとうございました ^^)
【2010年12月5日執筆分】
今回は趣向を変えて文学歌集に注目します。与謝野晶子の「みだれ髪」です。
与謝野晶子は夫である与謝野鉄幹とともに戦前文学の文壇の先駆者であり、中学校や高校の国語では必ず文学史に登場します。その業績は計り知れないものであり、日本の女性史に残した影響は極めて大きいです。
この「みだれ髪」も与謝野晶子の出世作であり、当時としては珍しい女性の官能を表現した作品です。当時、戦争体制を維持するために、国歌は女性に「良妻賢母という規範」を押し付けていました。それゆえ、この書籍の出版は文部省に危険思想保持者とされかねない危ういものでした。
筆者が京都大学で教育学を勉強したときの指導教官の一人である小山静子氏の著書、「良妻賢母の規範」です。教授は江戸時代から戦後にかけての教育史をジェンダー論の観点から解きほどく研究をされてこられました。
ジェンダー論とは「社会的・文化的な性の役割」であり、今でこそその差はほとんどありませんが、戦前は男女の役割が厳しく分けられていました。そのようななかで、女性には戦争のために健康な子どもを産み育てる「良妻賢母の役割」を押し付けられていたといいます。与謝野晶子もこの良妻賢母思想に強く反対する歌人であり、これは戦時体制の国家に反対するという意味を内包していました。「君死にたまふことなかれ」という弟への詩集に込められた悲痛な戦争反対のメッセージからも与謝野晶子という人物を想像していただけると思います。
最後に、世界的な名著であるスマイルズの「自助論」を取りあげます。なぜかというと、この書籍は産業革命時にに自分の努力によって経済的豊かさを勝ち取ろうという資本主義における個人の在り方を示したものであり、与謝野晶子の「女性の自立論」に極めて近いものがあるからです。当時、国歌が女性に押し付けた良妻賢母という概念は、戦時体制・男性社会への隷属を強いるものであり、女性には参政権すら付与されていませんでした。この点においても、与謝野晶子は日本の女性史に先駆的な役割を果たしています。日本最初の男女共学の学校「文化学院」を夫である与謝野鉄幹とともに設立するなど、与謝野晶子の活動は多岐にわたっていました。
この「みだれ髪」は1973年に孫にあたる与謝野馨氏が復刊させています。氏がはじめて衆議院議員に落選したときの話だが、どのような思いだったのでしょうか。偉大な歌人である祖母に対する畏敬の念が強かったに違いありません。
-最終更新日:2023年8月7日(月)-

小山静子教授は、私が当初の4年間、ほとんど単位が取れなかった時期を経て、復学した際にお世話になりました。教育学基礎論のディベートの授業は鮮明に覚えております。楽しいゼミでした。
なお、小山教授の専門はジェンダー日本史ですが、その授業で、一番記憶に鮮明に残っているのが「分厚い中間層が民主主義を効用最大化する」といったものです。他のことをあまり覚えておらず、誠に申し訳ないのですが、これがその後の私の思想の核になりました。
当時、2000年初頭、まだ日本社会が新自由主義にひた走る直前でした。最後の社会民主主義を日本が謳歌している状態でした。ジェンダー論も、テレビで田嶋陽子さんなど活躍され、日本で最も花の学術領域ではなかったかと思います。
その後、日本社会が、新自由主義時代へと突入し、我々社会民主主義勢力には暗黒時代となりました。先生はどうお過ごしでしたか?大変な思いをされませんでしたか?
当時、私の指導教官の皆さまの評価は、内々には精神疾患者だったのではないかと思います。それを、すべての教官の皆さまに健常な学生として扱っていただきました。この自己肯定感が社会人になったときに、ひたむきに努力できる結果につながりました。
誠にありがとうございました。かけがえのない思想をいただきました。どうかご健康で ^^)
普及価格帯に神が宿る
分厚い中間層が民主主義を効用最大化させる根拠
-最終更新日:2023年8月12日(土)-
この項に追記しておきます。
私の一番好きな車は、カローラとプリウス、アクアです。これ以上のものは必要ないです。普及価格帯なので、最も原価率が高く、開発コストもかかっています。開発のための人的リソースも最高の技術職の方々が投入されています。
分厚い中間層の社会になればなるほど、このような製品がますます売れます。そうなると、さらに開発コストが投入され、いい製品になって登場します。
日本の1990年代までの社会民主主義社会では、このような普及価格帯の製品が主に世界に輸出されました。まじめな国民性も相まって、神が宿っていました。この神話が、新自由主義社会で崩れました。
新自由主義社会では、製品は二極化します。粗末な安い製品と、原価率の悪い割に合わない奢侈品です。やはり、新自由主義による独裁化は、人類の理想社会じゃない気がします。
往年の北欧型福祉国家は、アメリカやイギリス、欧州が新自由主義で儲けることができていたその恩恵を受けて栄えたと言われています。新自由主義がリーマンショックで失敗した時に、スウェーデンは巨大な財政赤字を抱えました。このような歴史的事実が社会民主主義社会の存続の困難さを物語っています。
私は日本社会で一番の民主主義の黄金期は、1990年代までの社会民主主義時代だと思っています。しかし、これから、資源のない日本はますます新自由主義思想が重要になってきます。このような中で、どのように日本の民主主義を効用最大化するかが課題になってきます。
とりあえずの解は、新自由主義セクションと社会民主主義セクションを多元同居化することです。サラリーマンや開発職の方が新自由主義制度で稼いでいるなか、社会民主主義セクションの対人援助職が手厚いサポートを行ってお互いを侵犯しないといったようにです。貧困になったら共産主義を頼ればいいです。世界平和貢献をしたくなったら一番ノウハウを持っている新興宗教団体を頼ればいいです。これらの多元イデオロギーの狭い国家での同居がこれからの日本社会の課題になるのではないでしょうか。やはり、ジェイコブ卿がおっしゃるように、暴力を伴った闘争は、もう人類に不要です。
取り急ぎ素描まで。小山さん、思想の核となるアイデアをいただきました。ありがとうございました ^^)
【2010年12月5日執筆分】
![]() | みだれ髪 (新潮文庫) (1999/12) 与謝野 晶子 商品詳細を見る |
今回は趣向を変えて文学歌集に注目します。与謝野晶子の「みだれ髪」です。
与謝野晶子は夫である与謝野鉄幹とともに戦前文学の文壇の先駆者であり、中学校や高校の国語では必ず文学史に登場します。その業績は計り知れないものであり、日本の女性史に残した影響は極めて大きいです。
この「みだれ髪」も与謝野晶子の出世作であり、当時としては珍しい女性の官能を表現した作品です。当時、戦争体制を維持するために、国歌は女性に「良妻賢母という規範」を押し付けていました。それゆえ、この書籍の出版は文部省に危険思想保持者とされかねない危ういものでした。
![]() | 良妻賢母という規範 (1991/10) 小山 静子 商品詳細を見る |
筆者が京都大学で教育学を勉強したときの指導教官の一人である小山静子氏の著書、「良妻賢母の規範」です。教授は江戸時代から戦後にかけての教育史をジェンダー論の観点から解きほどく研究をされてこられました。
ジェンダー論とは「社会的・文化的な性の役割」であり、今でこそその差はほとんどありませんが、戦前は男女の役割が厳しく分けられていました。そのようななかで、女性には戦争のために健康な子どもを産み育てる「良妻賢母の役割」を押し付けられていたといいます。与謝野晶子もこの良妻賢母思想に強く反対する歌人であり、これは戦時体制の国家に反対するという意味を内包していました。「君死にたまふことなかれ」という弟への詩集に込められた悲痛な戦争反対のメッセージからも与謝野晶子という人物を想像していただけると思います。
![]() | スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫 (2002/03) サミュエル スマイルズ 商品詳細を見る |
最後に、世界的な名著であるスマイルズの「自助論」を取りあげます。なぜかというと、この書籍は産業革命時にに自分の努力によって経済的豊かさを勝ち取ろうという資本主義における個人の在り方を示したものであり、与謝野晶子の「女性の自立論」に極めて近いものがあるからです。当時、国歌が女性に押し付けた良妻賢母という概念は、戦時体制・男性社会への隷属を強いるものであり、女性には参政権すら付与されていませんでした。この点においても、与謝野晶子は日本の女性史に先駆的な役割を果たしています。日本最初の男女共学の学校「文化学院」を夫である与謝野鉄幹とともに設立するなど、与謝野晶子の活動は多岐にわたっていました。
この「みだれ髪」は1973年に孫にあたる与謝野馨氏が復刊させています。氏がはじめて衆議院議員に落選したときの話だが、どのような思いだったのでしょうか。偉大な歌人である祖母に対する畏敬の念が強かったに違いありません。
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