サッチャー レーガン フラット化する社会
~新自由主義の再考の手掛かりとして~
-最終更新日:2010年12月12日(日)-
下記は2010年7月に旧ブログに掲載した記事です。端的に申し上げると、この問題を考えるにあたって原因となる思潮を考察した際、新自由主義について再考したものです。読者の皆さんもこの考え方について歴史的にもう一度お考えになっていただけたら幸いです。
【グローバリズムの起爆剤となった「フラット化する世界」】
サッチャー政権における自由主義政策と小さな国家の成功
マーガレット・サッチャー氏は1925年、リンカンシャー州グランサムに生まれました。実家が質素倹約や自己責任・自助努力を旨とする風潮であり、その精神がサッチャー氏に受け継がれたといわれています。また、強い精神力で「鉄の女」と呼ばれ、サッチャー氏の代名詞となりました。
サッチャー氏は1979年に首相に就任し、財政再建が必要といわれたイギリスにおいて、小さな政府と自由主義経済政策で建て直しを図りました。そのときの主な政策として、電話会社・ガス会社など各種国有企業の民営化や規制緩和、法人税の引き下げなどが挙げられます。
この政治スタイルはサッチャリズムと呼ばれ、他の国で財政再建が必要な状態になったときに、行政コストを削減して国家を建てなおす手法として模倣されることになります。1980年に米大統領に就任したロナルド・レーガン氏や、1984年にカナダ大統領に就任したカナダのマルルーニー首相などがこれに続くことになります。日本においても、1982年に中曽根康弘氏が首相に就任した後に行政改革や国鉄分割民営化などが進められています。中曽根氏は、2003年まで86歳という最高齢まで議員を勤められています。
この「行政コストの削減」という課題は、財政再建が叫ばれている現在の日本に強く共通します。
グローバリズムにおける新自由主義と小泉首相
小泉純一郎氏は、横浜権横須賀市に1942に生まれです。慶応技術大学卒業後、福田赳夫氏の書生を経て1972年に衆議院議員として初当選し、以降は連続当選しています。小泉氏は、総理大臣就任までに三期厚生大臣を勤め、郵政大臣も勤めています。その後、小泉氏は2001年4月に総理大臣に就任しますが、1980日という在任期間は歴代3位であり、就任当初の86.4%という支持率は歴代最高となります。個人的には現在の選挙制度でこの支持率は超えられないのではないかと思っています。
このとき、世界はグローバリズムへと強く舵を切っていました。小泉首相の政治スタンスも新自由主義と呼ばれる自由主義経済を志向するもので、世界全体が同一の方向へと向かい、強い競争が行われることになります。
このときのグローバル化は、このような現象それ自体が人類始めての動きのようなもので、世界的に大きな変化が様々な分野で生じました。そのときの動きを大きく表した書籍として、トマス・フリードマンの「フラット化する世界」が挙げられます。この書籍によると、グローバリズムとは国境を越えて資本の流動が可塑的に行われる現象で、社会にも大きな変化をもたらします。例えば、このように財の流通が頻繁に行われることによって、国境の概念が希薄化します。また、そのために、国家が経済に果たす役割も小さくなります。したがって、この時代はもっとも国家という概念が小さいものとして国境がボーダレスになった時代といえます。
この書籍は、グローバル化を非常に理論的に表現した書籍として世界的に販売され、ニューヨークタイムズ紙でベストセラーとなりました。このグローバリズムと新自由主義は世界的な傾向であり、前にも申し上げましたが、これに遅れることは国際競争に負けることでもありました。言ってみれば、この流れは世界的なものであり、歴史の必然であったといえると思います。
このように、簡単に自由主義経済とは何かを追ってきましたが、現在の日本でも先進諸国としては群を抜いた赤字国債発行額となっており、財政再建が急務といわれています。そのためには、経済成長を前提とした財政再建計画が必要であり、そのためには経済の自由主義的な考え方が必須となります。前述しました社会基盤の回復と同時に、このような経済の発展を考慮してバランスをとることが、日本の未来にとって重要ではないでしょうか。
ロナルド・レーガン大統領主演の映画「勝利への潜航」
レーガン大統領が元映画俳優だと聞いて、検索してみたらいとも簡単にこのようなDVDが表示される時代が来たものです。前々から気になっていたのと安価なので思わず筆者も購入しています。それにしても、アメリカは映画俳優を大統領にしてしまうというなんというアメリカンドリームに満ちた国なのでしょうか。その大統領が歴代大統領としても小さな国家を目指して相当な業績をあげた大統領と愛されている訳で、アメリカの恰幅の良さが表れているDVDでしょう。
池田信夫氏による新自由主義の巨匠、ハイエクの入門書
マーガレット・サッチャーはじめ新自由主義の政治家の理論的支柱となっているハイエク。池田信夫氏のこの書籍は経済学入門として非常に読みやすかったのを覚えています。ケインズ主義が隆盛している中で、ハイエクが孤独に自由主義経済の理論を貫いて現代に認められる過程がわかりやすく記載されています。現在でもわかりやすい色褪せない入門書です。
(以上、2010/12/12追記分)
-最終更新日:2010年12月12日(日)-
下記は2010年7月に旧ブログに掲載した記事です。端的に申し上げると、この問題を考えるにあたって原因となる思潮を考察した際、新自由主義について再考したものです。読者の皆さんもこの考え方について歴史的にもう一度お考えになっていただけたら幸いです。
【グローバリズムの起爆剤となった「フラット化する世界」】
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サッチャー政権における自由主義政策と小さな国家の成功
マーガレット・サッチャー氏は1925年、リンカンシャー州グランサムに生まれました。実家が質素倹約や自己責任・自助努力を旨とする風潮であり、その精神がサッチャー氏に受け継がれたといわれています。また、強い精神力で「鉄の女」と呼ばれ、サッチャー氏の代名詞となりました。
サッチャー氏は1979年に首相に就任し、財政再建が必要といわれたイギリスにおいて、小さな政府と自由主義経済政策で建て直しを図りました。そのときの主な政策として、電話会社・ガス会社など各種国有企業の民営化や規制緩和、法人税の引き下げなどが挙げられます。
この政治スタイルはサッチャリズムと呼ばれ、他の国で財政再建が必要な状態になったときに、行政コストを削減して国家を建てなおす手法として模倣されることになります。1980年に米大統領に就任したロナルド・レーガン氏や、1984年にカナダ大統領に就任したカナダのマルルーニー首相などがこれに続くことになります。日本においても、1982年に中曽根康弘氏が首相に就任した後に行政改革や国鉄分割民営化などが進められています。中曽根氏は、2003年まで86歳という最高齢まで議員を勤められています。
この「行政コストの削減」という課題は、財政再建が叫ばれている現在の日本に強く共通します。
グローバリズムにおける新自由主義と小泉首相
小泉純一郎氏は、横浜権横須賀市に1942に生まれです。慶応技術大学卒業後、福田赳夫氏の書生を経て1972年に衆議院議員として初当選し、以降は連続当選しています。小泉氏は、総理大臣就任までに三期厚生大臣を勤め、郵政大臣も勤めています。その後、小泉氏は2001年4月に総理大臣に就任しますが、1980日という在任期間は歴代3位であり、就任当初の86.4%という支持率は歴代最高となります。個人的には現在の選挙制度でこの支持率は超えられないのではないかと思っています。
このとき、世界はグローバリズムへと強く舵を切っていました。小泉首相の政治スタンスも新自由主義と呼ばれる自由主義経済を志向するもので、世界全体が同一の方向へと向かい、強い競争が行われることになります。
このときのグローバル化は、このような現象それ自体が人類始めての動きのようなもので、世界的に大きな変化が様々な分野で生じました。そのときの動きを大きく表した書籍として、トマス・フリードマンの「フラット化する世界」が挙げられます。この書籍によると、グローバリズムとは国境を越えて資本の流動が可塑的に行われる現象で、社会にも大きな変化をもたらします。例えば、このように財の流通が頻繁に行われることによって、国境の概念が希薄化します。また、そのために、国家が経済に果たす役割も小さくなります。したがって、この時代はもっとも国家という概念が小さいものとして国境がボーダレスになった時代といえます。
この書籍は、グローバル化を非常に理論的に表現した書籍として世界的に販売され、ニューヨークタイムズ紙でベストセラーとなりました。このグローバリズムと新自由主義は世界的な傾向であり、前にも申し上げましたが、これに遅れることは国際競争に負けることでもありました。言ってみれば、この流れは世界的なものであり、歴史の必然であったといえると思います。
このように、簡単に自由主義経済とは何かを追ってきましたが、現在の日本でも先進諸国としては群を抜いた赤字国債発行額となっており、財政再建が急務といわれています。そのためには、経済成長を前提とした財政再建計画が必要であり、そのためには経済の自由主義的な考え方が必須となります。前述しました社会基盤の回復と同時に、このような経済の発展を考慮してバランスをとることが、日本の未来にとって重要ではないでしょうか。
ロナルド・レーガン大統領主演の映画「勝利への潜航」
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レーガン大統領が元映画俳優だと聞いて、検索してみたらいとも簡単にこのようなDVDが表示される時代が来たものです。前々から気になっていたのと安価なので思わず筆者も購入しています。それにしても、アメリカは映画俳優を大統領にしてしまうというなんというアメリカンドリームに満ちた国なのでしょうか。その大統領が歴代大統領としても小さな国家を目指して相当な業績をあげた大統領と愛されている訳で、アメリカの恰幅の良さが表れているDVDでしょう。
池田信夫氏による新自由主義の巨匠、ハイエクの入門書
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マーガレット・サッチャーはじめ新自由主義の政治家の理論的支柱となっているハイエク。池田信夫氏のこの書籍は経済学入門として非常に読みやすかったのを覚えています。ケインズ主義が隆盛している中で、ハイエクが孤独に自由主義経済の理論を貫いて現代に認められる過程がわかりやすく記載されています。現在でもわかりやすい色褪せない入門書です。
(以上、2010/12/12追記分)
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