マイケル・アプテッド監督「ROME」
出演:ケヴィン・マクキッド レイ・スティーブンソン ほか
(2005年・2007年 米・英)
-最終更新日:2010年12月27日(月)-
今回とりあげるのは、アメリカのHBOとイギリスのBBCが共同制作したドラマ「ROME」である。映画のコーナーであるが、広く映像作品をということでこちらで紹介することにした。製作費は200億円以上という並みの映画を超える破格の額である。
この「ROME」、筆者は被害を受けているときに見たが、一気に最後まで借りて観てしまった。同じように最後まで飽きさせない海外ドラマには有名な「24」があるが、同様に面白い作品である。ストーリーを軽く説明しよう。
前編と後編に分かれており、前編はユリウス・カエサルがブルートゥスに暗殺されるまで、後編はカエサルの甥っ子であるオクタヴィアヌスがアウグストゥス(尊厳者)となるまでを描いている。ドラマであり史実とはかなり異なる点が多い。たとえば、カエサルの姪であるアティアは歴史的にはオクタヴィアヌスの賢母として記録に残っているが、このドラマでは性的欲求が強く陰謀を駆使する悪女として描かれている。また、後編に出てくる世界三大美女のクレオパトラの息子カエサリオンは、史実ではカエサルとの子であり、オクタヴィアヌスがエジプトを統一した際に殺害される。しかし、このドラマでは別の人物との子に設定されており、最後にはうまく生き残ってしまう。誰の子であるかは実際に見て確かめてほしい。(現在制作されている映画版にどのように登場するのかが気になるところである。)
このドラマは元老院による議会民主制と帝政の間で揺れ動く時代をよく表現している。当時は元老院による政治の停滞と腐敗がカエサルによる帝政を生みだし、オクタヴィアヌスに受け継がれる。オクタヴィアヌスがとった政治形態は民主制であるが、それは擬似的なものであって、自身を頂点にした帝政であった。当時は内乱や外敵の排除という観点において民主制よりも帝政が優れた政治形態とされることが多かった。議会でいちいち議決しては戦争に敗れてしまうからである。
現代において、強いリーダーシップをもった僭主を必要とする民主主義国家は不幸とされている。そこにおいては民主制は傀儡的なものでしかないからだ。民衆における自由という概念が発達して民主主義の統治形態が生まれるには産業革命のころまで待たなければならなかった。それも、フランスのモンテスキューやイギリスのジョン・ロックなどが自由の概念を掘り下げて数世紀が経ってからである。この産業革命のころに政治が独裁者を必要とするファシズムが横行したが、初めて「自由を放棄」した民衆の責任とされるようになった。甘美な独裁者の言葉に民衆が騙されて、挙句のはては大きな戦争責任だけを残したからである。このような意味で「自由からの逃走」をもう一度掲載する。このブログの問題に非常に深くかかわるテーマだからだ。
話がそれて申し訳ない。ついあらゆる作品をこの問題に結びつけてしまう癖が筆者にある。現代も、このような問題が発生していること自体が民主主義国家における不幸である。すでに国家のコントロールを超えて加害者が暴走しているからだ。この事態、読者の皆さんもほかの誰でもない同じ国民が被害を受けていることを忘れないでほしい。そして、他人事と思わないで真剣に考えてほしい。
安藤美姫選手、6季ぶりのV
昨日のフィギュアスケート日本選手権を視聴された読者の方も多いのではないだろうか。実は、今日「ROME」の記事を持ってきたのは安藤美姫選手が優勝したからである。なぜかというと、「ROME」のメインテーマを安藤選手は2009-2010シリーズに使用しているからだ。
この「ROME」のメインテーマ曲を使用したときの安藤選手の演技を見て「ふしぎの海のナディア」に似ていると思ってしまった。自分の感覚がおかしいのかと思って今Yahooで検索してみると、他にもこの時に同じように思った人がいると知って驚いた。個人的に庵野監督にはもう一度NHKでアニメを作成してほしいと思っている昨今である。当時は庵野監督がNHKをだましたんじゃないかと言われた「ふしぎの海のナディア」、間違いなくアニメ史上に残る作品となったからである。
筆者は小さいころから家族でフィギュアスケートを家族で見ることが多く、その多様な演技に見入ってきた。伊藤みどり選手が懐かしいと感じる昨今である。その時代からスケートも4回転ジャンプが必要とされるなど、より難易度が増してきた。そのような中で不調に苦しんでいた安藤選手だが、今年に入って国際大会を含めて3度金メダルを獲得している。これに喜ばれた方も多いのではないだろうか。確実に演技力を増しての復活である。
(2005年・2007年 米・英)
-最終更新日:2010年12月27日(月)-
![]() | ROME [ローマ] 〈前編〉 [DVD] (2009/08/12) ケヴィン・マクキッド レイ・スティーブンソン 商品詳細を見る |
![]() | ROME [ローマ] 〈後編〉 [DVD] (2009/08/12) ケヴィン・マクキッド レイ・スティーブンソン 商品詳細を見る |
今回とりあげるのは、アメリカのHBOとイギリスのBBCが共同制作したドラマ「ROME」である。映画のコーナーであるが、広く映像作品をということでこちらで紹介することにした。製作費は200億円以上という並みの映画を超える破格の額である。
この「ROME」、筆者は被害を受けているときに見たが、一気に最後まで借りて観てしまった。同じように最後まで飽きさせない海外ドラマには有名な「24」があるが、同様に面白い作品である。ストーリーを軽く説明しよう。
前編と後編に分かれており、前編はユリウス・カエサルがブルートゥスに暗殺されるまで、後編はカエサルの甥っ子であるオクタヴィアヌスがアウグストゥス(尊厳者)となるまでを描いている。ドラマであり史実とはかなり異なる点が多い。たとえば、カエサルの姪であるアティアは歴史的にはオクタヴィアヌスの賢母として記録に残っているが、このドラマでは性的欲求が強く陰謀を駆使する悪女として描かれている。また、後編に出てくる世界三大美女のクレオパトラの息子カエサリオンは、史実ではカエサルとの子であり、オクタヴィアヌスがエジプトを統一した際に殺害される。しかし、このドラマでは別の人物との子に設定されており、最後にはうまく生き残ってしまう。誰の子であるかは実際に見て確かめてほしい。(現在制作されている映画版にどのように登場するのかが気になるところである。)
このドラマは元老院による議会民主制と帝政の間で揺れ動く時代をよく表現している。当時は元老院による政治の停滞と腐敗がカエサルによる帝政を生みだし、オクタヴィアヌスに受け継がれる。オクタヴィアヌスがとった政治形態は民主制であるが、それは擬似的なものであって、自身を頂点にした帝政であった。当時は内乱や外敵の排除という観点において民主制よりも帝政が優れた政治形態とされることが多かった。議会でいちいち議決しては戦争に敗れてしまうからである。
![]() | 自由からの逃走 新版 (1965/12) エーリッヒ・フロム 日高 六郎 商品詳細を見る |
現代において、強いリーダーシップをもった僭主を必要とする民主主義国家は不幸とされている。そこにおいては民主制は傀儡的なものでしかないからだ。民衆における自由という概念が発達して民主主義の統治形態が生まれるには産業革命のころまで待たなければならなかった。それも、フランスのモンテスキューやイギリスのジョン・ロックなどが自由の概念を掘り下げて数世紀が経ってからである。この産業革命のころに政治が独裁者を必要とするファシズムが横行したが、初めて「自由を放棄」した民衆の責任とされるようになった。甘美な独裁者の言葉に民衆が騙されて、挙句のはては大きな戦争責任だけを残したからである。このような意味で「自由からの逃走」をもう一度掲載する。このブログの問題に非常に深くかかわるテーマだからだ。
話がそれて申し訳ない。ついあらゆる作品をこの問題に結びつけてしまう癖が筆者にある。現代も、このような問題が発生していること自体が民主主義国家における不幸である。すでに国家のコントロールを超えて加害者が暴走しているからだ。この事態、読者の皆さんもほかの誰でもない同じ国民が被害を受けていることを忘れないでほしい。そして、他人事と思わないで真剣に考えてほしい。
安藤美姫選手、6季ぶりのV
![]() | 空に向かって (2010/02/17) 安藤 美姫 商品詳細を見る |
昨日のフィギュアスケート日本選手権を視聴された読者の方も多いのではないだろうか。実は、今日「ROME」の記事を持ってきたのは安藤美姫選手が優勝したからである。なぜかというと、「ROME」のメインテーマを安藤選手は2009-2010シリーズに使用しているからだ。
![]() | ふしぎの海のナディア DVD-BOX I (2007/06/01) 鷹森淑乃、日高のり子 他 商品詳細を見る |
この「ROME」のメインテーマ曲を使用したときの安藤選手の演技を見て「ふしぎの海のナディア」に似ていると思ってしまった。自分の感覚がおかしいのかと思って今Yahooで検索してみると、他にもこの時に同じように思った人がいると知って驚いた。個人的に庵野監督にはもう一度NHKでアニメを作成してほしいと思っている昨今である。当時は庵野監督がNHKをだましたんじゃないかと言われた「ふしぎの海のナディア」、間違いなくアニメ史上に残る作品となったからである。
筆者は小さいころから家族でフィギュアスケートを家族で見ることが多く、その多様な演技に見入ってきた。伊藤みどり選手が懐かしいと感じる昨今である。その時代からスケートも4回転ジャンプが必要とされるなど、より難易度が増してきた。そのような中で不調に苦しんでいた安藤選手だが、今年に入って国際大会を含めて3度金メダルを獲得している。これに喜ばれた方も多いのではないだろうか。確実に演技力を増しての復活である。
- 関連記事