日米同盟のあり方を考える①
~本日の読売新聞1面、ジョセフ・ナイ氏と薮中前外務次官の対談より~
-最終更新日:2011年1月3日(月)-
本日は日米同盟という難しい難題に挑戦してみようと思う。岐路に立たされた日本において避けられない問題だからだ。書籍はジョセフ・ナイ氏のもっとも有名な著書。国家が統治する際に見えない力として作用する「ソフト・パワー」という言葉を聞いたことがある方も多いはずだ。本日の読売新聞1面のナイ氏と薮中前外務次官の対談から考察するものである。
対談の内容を要約すると、政権交代後に民主党が中国に歩み寄って日米同盟がなおざりにされてしまった。それをもう一度回復させ、さまざまな脅威に立ち向かわなければならない。というものである。思えば政権交代後は日本にとって激動の一年間だった。なかでも韓国に対する北朝鮮の砲撃は日本全土を震撼させた。この危機が日米同盟の衰退から発生していることは誰の目にも明らかである。軍事的にこれらの国家につけ入る隙を与えているようなものである。
この点、菅首相は中国に歩み寄り始めた民主党において当初から日米同盟の回復を念頭に置いていた。それが今春のオバマ大統領との日米共同宣言で実現することを筆者は願う。経済的な隆盛から一時は中国に歩み寄りを見せた両国であるが、これによる日米の亀裂の発生を一刻も修復しなければならない。それは北朝鮮のようなテロ国家を増長させるだけである。
ナイ氏はこのように指摘している。氏の提唱している「グローバル・シビリアン・パワー(地球規模の文民力)」戦略に日本が参加してほしいというのだ。国家による力ではなく、市民の力、これによって民主主義の維持に努めようという意思だろう。氏は、国連平和維持活動(PKO)など、地球規模での人道支援や災害救助などで日本はもっと活躍できるとしている。
以前、このブログで扱っている集団ストーカー問題は極めて政治的な問題だと述べた。民主主義を根幹から揺さぶる問題だからである。これに対する簡単な小手先の解決法は存在しない。世界的に包括的な民主主義維持の努力を長期間続けて結果が見えるたぐいのものである。問題解決の素地には政治レベルで民主主義における良好な関係を維持できる国家との緊密な連携が必要である。この点、ナイ氏は重要な国際的問題に対し、解決にはアメリカ、ヨーロッパ、日本の意思決定が必要なのだという論拠に立っている。筆者もナイ氏の論拠に大きく賛同するものである。
ナイ氏はリーマンショックとアメリカの財政危機がアメリカの国際社会におけるイニシアチブを損ねたと述べている。それに対し、薮中氏はこのアメリカの指導力の回復を主張している。筆者もアメリカの指導力の低下がそのまま国際的な民主主義の衰退につながらないかと危惧を覚える。これらの国々が民主主義に与える影響力は無視できない。民主主義先進国としてのプライドの見せどころではないだろうか。
本日の朝日新聞の天声人語では、敵失を喜ぶだけの現状の日本の政治を憂いている。「くすぶる民主党に野党が政策を研ぎ澄ます風でもない。」とある。日本国民の政治に対する苛立ちはピークに達しているだろう。読者の皆さんも思われているはずだ。「政治よ、動いてくれ」と。
-最終更新日:2011年1月3日(月)-
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本日は日米同盟という難しい難題に挑戦してみようと思う。岐路に立たされた日本において避けられない問題だからだ。書籍はジョセフ・ナイ氏のもっとも有名な著書。国家が統治する際に見えない力として作用する「ソフト・パワー」という言葉を聞いたことがある方も多いはずだ。本日の読売新聞1面のナイ氏と薮中前外務次官の対談から考察するものである。
対談の内容を要約すると、政権交代後に民主党が中国に歩み寄って日米同盟がなおざりにされてしまった。それをもう一度回復させ、さまざまな脅威に立ち向かわなければならない。というものである。思えば政権交代後は日本にとって激動の一年間だった。なかでも韓国に対する北朝鮮の砲撃は日本全土を震撼させた。この危機が日米同盟の衰退から発生していることは誰の目にも明らかである。軍事的にこれらの国家につけ入る隙を与えているようなものである。
この点、菅首相は中国に歩み寄り始めた民主党において当初から日米同盟の回復を念頭に置いていた。それが今春のオバマ大統領との日米共同宣言で実現することを筆者は願う。経済的な隆盛から一時は中国に歩み寄りを見せた両国であるが、これによる日米の亀裂の発生を一刻も修復しなければならない。それは北朝鮮のようなテロ国家を増長させるだけである。
ナイ氏はこのように指摘している。氏の提唱している「グローバル・シビリアン・パワー(地球規模の文民力)」戦略に日本が参加してほしいというのだ。国家による力ではなく、市民の力、これによって民主主義の維持に努めようという意思だろう。氏は、国連平和維持活動(PKO)など、地球規模での人道支援や災害救助などで日本はもっと活躍できるとしている。
以前、このブログで扱っている集団ストーカー問題は極めて政治的な問題だと述べた。民主主義を根幹から揺さぶる問題だからである。これに対する簡単な小手先の解決法は存在しない。世界的に包括的な民主主義維持の努力を長期間続けて結果が見えるたぐいのものである。問題解決の素地には政治レベルで民主主義における良好な関係を維持できる国家との緊密な連携が必要である。この点、ナイ氏は重要な国際的問題に対し、解決にはアメリカ、ヨーロッパ、日本の意思決定が必要なのだという論拠に立っている。筆者もナイ氏の論拠に大きく賛同するものである。
ナイ氏はリーマンショックとアメリカの財政危機がアメリカの国際社会におけるイニシアチブを損ねたと述べている。それに対し、薮中氏はこのアメリカの指導力の回復を主張している。筆者もアメリカの指導力の低下がそのまま国際的な民主主義の衰退につながらないかと危惧を覚える。これらの国々が民主主義に与える影響力は無視できない。民主主義先進国としてのプライドの見せどころではないだろうか。
本日の朝日新聞の天声人語では、敵失を喜ぶだけの現状の日本の政治を憂いている。「くすぶる民主党に野党が政策を研ぎ澄ます風でもない。」とある。日本国民の政治に対する苛立ちはピークに達しているだろう。読者の皆さんも思われているはずだ。「政治よ、動いてくれ」と。
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