2011年日本政治の行く末は
-最終更新日:2011年1月6日(木)-
①日本の政治の動向に関する所感
②TPP環太平洋経済連携協定への参加の是非
③シュワルツェネッガー氏、引退
今回はこの3つのテーマについて今年の政治の行く末を考えてみたいと思います。このカテゴリ「日本の政治を考える」はさまざまな視点で骨太な記事を書いていきたいと思います。このブログの中でも重要な意味合いがある記事だとご理解いただければ幸いです。
①日本の政治の動向に関する所感
1月5日の読売新聞の3面に菅首相と自民党谷垣総裁の一年の抱負が掲載されている。今回の記事はこの日の朝日新聞の記事と両方を読んでの所感である。
昨年、政治への国民の失望感は頂点に達した。政治と金、領海問題、北朝鮮の脅威、法案成立率過去最低。いずれも既存の政権がイニシアチブをとることができずにこれらの問題に翻弄された。年末までに支持率は急低下。現在でも今後の政争の行く末が見えないでいる。
筆者は、その解決策の一つが大連立だと考えている。水と油と呼ばれかねないが、もともと民主党も水と油の勢力で成立している。それよりも看過できないのが政治の停滞である。ねじれ状態でお互いの失点のみ喜びあうような国会は何とかならないだろうかと思っている国民の方も多いのではないだろうか。
大連立というのは、先進諸国を見ても珍しい政治形態である。特に二大政党制が定着した国家は通常はこの形態をとらない。しかし、日本の場合はさまざまな未解決の政治問題を手早く進めていかなければならない。そのためには、大連立は十分な大義名分になるのである。
思えば、福田政権時代に大連立構想が浮かび上がったが、もし既存の政治家がわだかまりを乗り越えて成立していたらと思う方も多いのではないだろうか。おそらく財政再建に関する法案が1年以上早く成立したに違いない。実現不可能なように見えるが、今の日本の置かれた状況は大連立を選ぶことに非常に効果があると言い切ることができる。この時は日本の行く先を案じるがために会談が実現したのだろう。
先日掲載した薮中元外務次官とジョセフ・ナイ氏のインタビューにもあるように、日本には現存の閉塞感を打破するブレイク・スルーが必要なのである。期待とか羨望とかそういうのを政治に投げかける前に、一回実現可能なことを前提として緻密に話し合いを始めてはどうだろうか。実現したら、国民の不満が一気に解消されるような政治の突破口になるだろう。
読者の皆さんはどのようにお考えだろうか。筆者は日本が避けて通れない道の一つだと考えている。
②TPP(環太平洋経済連携協定)への参加の是非
二つ目の記事は自由貿易協定(FTA)に関してである。現在、日本はTPP(環太平洋経済連携協定)への参加か否かで揺れている。上記の菅首相によると、6月を目途に表明すると発表しているが、どうなるのだろうか。日本の行く末を決める要素の一つといわれているTPP参加、これについて考察してみたい。
そもそも、自由貿易協定とは、ある貿易を交わしている2国が、国内産業の保護を顧みずに自由な貿易を促進するものとして結ぶものである。たいていの場合は関税率を下げることによって、輸出産業を促進させるものである。TPPとは、環太平洋国家の自由貿易協定の一つで、現在これらの国の多くが参加について検討を始めている。
ここで、自由貿易協定を多国間と結ぶことによって、国内浮揚を成功させている国家を挙げよう。韓国である。2011年1月5日の読売新聞には、同国前首相の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)氏のインタビューが掲載されいている。韓国は、輸出入額が国内総生産に占める割合が多く、貿易依存度が高い国家である。それゆえ、国内産業を守るか、それとも自由貿易協定路線に走るかで国内に大きな摩擦が生じていた。しかし、国内の浮揚のためには輸出産業の保護は避けられない。これに対し、国内全体が一体感を持って各国との自由貿易協定の締結に共同して参画してきたのである。これは有名な盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の時代に始められたことである。
これに対し、日本も、現在TPPに参加するかどうかで揺れている。もし参加した場合、国内の農業をはじめとする産業へのダメージは避けられず、難しい問題である。しかし、例えば、韓国はヨーロッパなどと独自の自由貿易協定を結ぶことによって、関税率を大幅に削減する協定を2010年中に結んでいる。これは、日本がヨーロッパに輸出する際よりもメリットがあるということであり、発行すれば国内の産業にとって大きな脅威となる。
日本もこれに遅れまいとする動きがあるが、やはり鈍い。多くの論客がTPP参加と同時に国内産業の保護の施策を進めなければならないことを論じているが、政治はなかなか動かない。この問題に対しても、日本の政治はイニシアチブを持って臨んでいかなければならないだろう。
最近では、日米韓の軍事合同演習の必要についても取りざたされており、環太平洋の経済的連携だけでなく、民主主義国家を守るための軍事連携についても取りざたもされている。これは先日の時事問題(4)、時事問題(5)において、日米同盟について取り上げたことからお分かりいただけるかと思う。軍事連携のほうは慎重な問題であるが、これらに遅れるということは日本が沈滞するということに他ならない。強い意識を日本の政治家には持っていただきたいと筆者は願っている。
③シュワルツェネッガー氏、引退
アーノルド・シュワルツェネッガー氏がアメリカ、カリフォルニア州知事を引退した。7年の任期をまっとうしてのことである。
氏は1968年にオーストリアから単身で渡米。ボディビルダーであったことや優秀な演技力を買われ、「コナン・ザ・グレート」や「ターミネーター」シリーズに出演。一躍アメリカのスターとなった。日本でもこれらの映画は大ヒットし、「シュワちゃん」の愛称で親しまれる。ちなみにこの愛称を最初に作ったとされるのが、故・淀川長治さんである。
もともと優秀な学歴のあるシュワルツェネッガー氏は2003年にカリフォルニア州知事選挙に立候補。選挙直前である2か月前の立候補だったが、全米的な人気者であり集中票を受けトップ当選。ここにアメリカンドリームが実現した。
しかし、知事としてのキャリアは苦難の連続だった。当選当時からカリフォルニア州には膨大な財政赤字が存在し、共和党と民主党のはざまに立たされ法案成立もままならなかった。アメリカは厳しくシュワルツェネッガー氏の政治手腕を批判するが、それには無理があるだろう。政治とは数のパワーゲームであり、政治家個人の資質や能力以外が左右する部分が大きい。間違いなくシュワルツェネッガー氏は人気・実力ともに優秀な存在なのだから。
筆者はこれで一つの時代が終わってしまったのかと悲しい。しかし、シュワルツェネッガー氏の去来として、俳優への復帰や環境事業家への転身の噂が取りざたされている。なじみの深い日本のファンとしては、末永く氏の動向に注目していたいと感じるのである。筆者の皆さんはどう思われるだろうか。
今回はこのように政治に関する記事を3つ書いたが、日本政治の行く末にいまだ光明が見えない。これに対し我々はただじっと見ているのではなく、主体的にしっかり考察しながらオピニオンを表出しなければならない。政治に失望するにはまだ早いのだという観点から、力のこもった記事をこれからも書いていきたいと思う。ご期待ください。
①日本の政治の動向に関する所感
②TPP環太平洋経済連携協定への参加の是非
③シュワルツェネッガー氏、引退
今回はこの3つのテーマについて今年の政治の行く末を考えてみたいと思います。このカテゴリ「日本の政治を考える」はさまざまな視点で骨太な記事を書いていきたいと思います。このブログの中でも重要な意味合いがある記事だとご理解いただければ幸いです。
①日本の政治の動向に関する所感
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昨年、政治への国民の失望感は頂点に達した。政治と金、領海問題、北朝鮮の脅威、法案成立率過去最低。いずれも既存の政権がイニシアチブをとることができずにこれらの問題に翻弄された。年末までに支持率は急低下。現在でも今後の政争の行く末が見えないでいる。
筆者は、その解決策の一つが大連立だと考えている。水と油と呼ばれかねないが、もともと民主党も水と油の勢力で成立している。それよりも看過できないのが政治の停滞である。ねじれ状態でお互いの失点のみ喜びあうような国会は何とかならないだろうかと思っている国民の方も多いのではないだろうか。
大連立というのは、先進諸国を見ても珍しい政治形態である。特に二大政党制が定着した国家は通常はこの形態をとらない。しかし、日本の場合はさまざまな未解決の政治問題を手早く進めていかなければならない。そのためには、大連立は十分な大義名分になるのである。
思えば、福田政権時代に大連立構想が浮かび上がったが、もし既存の政治家がわだかまりを乗り越えて成立していたらと思う方も多いのではないだろうか。おそらく財政再建に関する法案が1年以上早く成立したに違いない。実現不可能なように見えるが、今の日本の置かれた状況は大連立を選ぶことに非常に効果があると言い切ることができる。この時は日本の行く先を案じるがために会談が実現したのだろう。
先日掲載した薮中元外務次官とジョセフ・ナイ氏のインタビューにもあるように、日本には現存の閉塞感を打破するブレイク・スルーが必要なのである。期待とか羨望とかそういうのを政治に投げかける前に、一回実現可能なことを前提として緻密に話し合いを始めてはどうだろうか。実現したら、国民の不満が一気に解消されるような政治の突破口になるだろう。
読者の皆さんはどのようにお考えだろうか。筆者は日本が避けて通れない道の一つだと考えている。
②TPP(環太平洋経済連携協定)への参加の是非
二つ目の記事は自由貿易協定(FTA)に関してである。現在、日本はTPP(環太平洋経済連携協定)への参加か否かで揺れている。上記の菅首相によると、6月を目途に表明すると発表しているが、どうなるのだろうか。日本の行く末を決める要素の一つといわれているTPP参加、これについて考察してみたい。
そもそも、自由貿易協定とは、ある貿易を交わしている2国が、国内産業の保護を顧みずに自由な貿易を促進するものとして結ぶものである。たいていの場合は関税率を下げることによって、輸出産業を促進させるものである。TPPとは、環太平洋国家の自由貿易協定の一つで、現在これらの国の多くが参加について検討を始めている。
ここで、自由貿易協定を多国間と結ぶことによって、国内浮揚を成功させている国家を挙げよう。韓国である。2011年1月5日の読売新聞には、同国前首相の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)氏のインタビューが掲載されいている。韓国は、輸出入額が国内総生産に占める割合が多く、貿易依存度が高い国家である。それゆえ、国内産業を守るか、それとも自由貿易協定路線に走るかで国内に大きな摩擦が生じていた。しかし、国内の浮揚のためには輸出産業の保護は避けられない。これに対し、国内全体が一体感を持って各国との自由貿易協定の締結に共同して参画してきたのである。これは有名な盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の時代に始められたことである。
これに対し、日本も、現在TPPに参加するかどうかで揺れている。もし参加した場合、国内の農業をはじめとする産業へのダメージは避けられず、難しい問題である。しかし、例えば、韓国はヨーロッパなどと独自の自由貿易協定を結ぶことによって、関税率を大幅に削減する協定を2010年中に結んでいる。これは、日本がヨーロッパに輸出する際よりもメリットがあるということであり、発行すれば国内の産業にとって大きな脅威となる。
日本もこれに遅れまいとする動きがあるが、やはり鈍い。多くの論客がTPP参加と同時に国内産業の保護の施策を進めなければならないことを論じているが、政治はなかなか動かない。この問題に対しても、日本の政治はイニシアチブを持って臨んでいかなければならないだろう。
最近では、日米韓の軍事合同演習の必要についても取りざたされており、環太平洋の経済的連携だけでなく、民主主義国家を守るための軍事連携についても取りざたもされている。これは先日の時事問題(4)、時事問題(5)において、日米同盟について取り上げたことからお分かりいただけるかと思う。軍事連携のほうは慎重な問題であるが、これらに遅れるということは日本が沈滞するということに他ならない。強い意識を日本の政治家には持っていただきたいと筆者は願っている。
③シュワルツェネッガー氏、引退
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アーノルド・シュワルツェネッガー氏がアメリカ、カリフォルニア州知事を引退した。7年の任期をまっとうしてのことである。
氏は1968年にオーストリアから単身で渡米。ボディビルダーであったことや優秀な演技力を買われ、「コナン・ザ・グレート」や「ターミネーター」シリーズに出演。一躍アメリカのスターとなった。日本でもこれらの映画は大ヒットし、「シュワちゃん」の愛称で親しまれる。ちなみにこの愛称を最初に作ったとされるのが、故・淀川長治さんである。
もともと優秀な学歴のあるシュワルツェネッガー氏は2003年にカリフォルニア州知事選挙に立候補。選挙直前である2か月前の立候補だったが、全米的な人気者であり集中票を受けトップ当選。ここにアメリカンドリームが実現した。
しかし、知事としてのキャリアは苦難の連続だった。当選当時からカリフォルニア州には膨大な財政赤字が存在し、共和党と民主党のはざまに立たされ法案成立もままならなかった。アメリカは厳しくシュワルツェネッガー氏の政治手腕を批判するが、それには無理があるだろう。政治とは数のパワーゲームであり、政治家個人の資質や能力以外が左右する部分が大きい。間違いなくシュワルツェネッガー氏は人気・実力ともに優秀な存在なのだから。
筆者はこれで一つの時代が終わってしまったのかと悲しい。しかし、シュワルツェネッガー氏の去来として、俳優への復帰や環境事業家への転身の噂が取りざたされている。なじみの深い日本のファンとしては、末永く氏の動向に注目していたいと感じるのである。筆者の皆さんはどう思われるだろうか。
今回はこのように政治に関する記事を3つ書いたが、日本政治の行く末にいまだ光明が見えない。これに対し我々はただじっと見ているのではなく、主体的にしっかり考察しながらオピニオンを表出しなければならない。政治に失望するにはまだ早いのだという観点から、力のこもった記事をこれからも書いていきたいと思う。ご期待ください。
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