「事業仕分け」の力
~初めてメスが入った構造的な改革となる行政レビュー~
-最終更新日:2011年1月7日(金)-
ちょっと旬が過ぎたが、最近の政治では目覚ましい業績をあげた「事業仕分け」を取り上げてみようと思う。事業仕訳は、民主党が政権交代直後に行った目玉施策の一つで、行政改革担当大臣である現仙谷由人官房長官を中心に行われた。その後、次年には枝野氏が大臣に就任して行っている。さまざまな論点がこの事業仕分けにあるが、この書籍の最後にこのように書かれている。
結果がすぐ出る事業を削減しがちであった。より長期的視野での検討を可能にし、かつ、政治的にアンタッチャブルなテーマについても取り組みうるという意識を醸成。(同著p.198)
これは、事業仕訳のモデルとなったカナダのプログラム・レビューにおける効果を列挙したものの抜粋である。このプログラム・レビューとは、1990年代のカナダにおける財政赤字が厳しい状況の中で行われた行政改革である。同じように削減できる行政項目を同じ手法でレビューすることによって、削減の強制力を持たせるという手法である。
日本における事業仕分けも実は法的拘束力がない。事業仕分けで削減対象とされた事業は削減する必要がないのである。しかし、政治家による公平なレビューをあれだけテレビ中継で報道され記録に残されたら削減しないと面目が立たない。その程度の拘束力だけで行われている。それでも予算削減の原動力となったことに間違いはない。いろいろ言われる事業仕分けであるが、確実に日本の政治史において前向きに評価できる痕跡を残したといえるだろう。筆者はインターネット中継でA・B両チームの仕分けの様子を見ていたが、「下手なテレビ番組より面白い」などというtwitterの発言もあった。蓮舫議員が冴えまくっていたのを覚えている。お名前を忘れて申し訳ないが、民間のきわめて優秀な仕分け人の方々も強く印象に残っている。
この事業仕分け、現在ではそれ自体は不必要になりつつあるとされながらも、「行政レビュー」としてさまざまな分野で小規模に行われている。無駄な事業を公開してレビューすること自体が予算削減につながるということで、継続して行おうということだろう。あとはこの「行政レビュー」がどれだけ実行力を持って根を張れるかだ。
ちなみに、枝野氏は弁護士出身である。政治家には弁護士出身の議員が多い。筆者が知っている中で弁護士出身の議員といえば、自民党の白川勝彦元議員や民主党の仙谷由人現官房長官、横粂勝仁議員、社民党の福島瑞穂議員あたりである。法曹界のトップの弁護士といえば知能指数は折り紙つきなわけで、やはり優秀な議員が多いということだろう。
と思って調べてみたら、自民党の谷垣禎一総裁も弁護士出身だった。道理であれだけ頭の回転のパフォーマンスがいいしゃべり方ができるのだ。他にもたくさんおられると思うが、無知な筆者だけにご容赦いただきたい。
-最終更新日:2011年1月7日(金)-
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ちょっと旬が過ぎたが、最近の政治では目覚ましい業績をあげた「事業仕分け」を取り上げてみようと思う。事業仕訳は、民主党が政権交代直後に行った目玉施策の一つで、行政改革担当大臣である現仙谷由人官房長官を中心に行われた。その後、次年には枝野氏が大臣に就任して行っている。さまざまな論点がこの事業仕分けにあるが、この書籍の最後にこのように書かれている。
結果がすぐ出る事業を削減しがちであった。より長期的視野での検討を可能にし、かつ、政治的にアンタッチャブルなテーマについても取り組みうるという意識を醸成。(同著p.198)
これは、事業仕訳のモデルとなったカナダのプログラム・レビューにおける効果を列挙したものの抜粋である。このプログラム・レビューとは、1990年代のカナダにおける財政赤字が厳しい状況の中で行われた行政改革である。同じように削減できる行政項目を同じ手法でレビューすることによって、削減の強制力を持たせるという手法である。
日本における事業仕分けも実は法的拘束力がない。事業仕分けで削減対象とされた事業は削減する必要がないのである。しかし、政治家による公平なレビューをあれだけテレビ中継で報道され記録に残されたら削減しないと面目が立たない。その程度の拘束力だけで行われている。それでも予算削減の原動力となったことに間違いはない。いろいろ言われる事業仕分けであるが、確実に日本の政治史において前向きに評価できる痕跡を残したといえるだろう。筆者はインターネット中継でA・B両チームの仕分けの様子を見ていたが、「下手なテレビ番組より面白い」などというtwitterの発言もあった。蓮舫議員が冴えまくっていたのを覚えている。お名前を忘れて申し訳ないが、民間のきわめて優秀な仕分け人の方々も強く印象に残っている。
この事業仕分け、現在ではそれ自体は不必要になりつつあるとされながらも、「行政レビュー」としてさまざまな分野で小規模に行われている。無駄な事業を公開してレビューすること自体が予算削減につながるということで、継続して行おうということだろう。あとはこの「行政レビュー」がどれだけ実行力を持って根を張れるかだ。
ちなみに、枝野氏は弁護士出身である。政治家には弁護士出身の議員が多い。筆者が知っている中で弁護士出身の議員といえば、自民党の白川勝彦元議員や民主党の仙谷由人現官房長官、横粂勝仁議員、社民党の福島瑞穂議員あたりである。法曹界のトップの弁護士といえば知能指数は折り紙つきなわけで、やはり優秀な議員が多いということだろう。
と思って調べてみたら、自民党の谷垣禎一総裁も弁護士出身だった。道理であれだけ頭の回転のパフォーマンスがいいしゃべり方ができるのだ。他にもたくさんおられると思うが、無知な筆者だけにご容赦いただきたい。
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