TPP参加の是非について
~財政再建を考慮した場合の日本のとるべき道~
-最終更新日: 2011年10月16日 (日) -
これを書いているとき、日曜討論が放送されている。出演は枝野幸男経済産業相。通常は与野党の議員をそろえるのに対して枝野議員単独とは珍しい。しかし、政権与党におけるキーマンということで政策を問うには十分の放送内容だということだろう。上記の書籍は枝野議員の昔の著書があったので掲載してみた。
まず議論になっているのがTPP。おさらいだがTrance Pacific Partnership(環太平洋パートナーシップ)の略である。環太平洋の国々で統一的な自由貿易協定を結ぼうというものである。
これを皆さんはどのように思われるだろうか。どの国でも自国内産業、とりわけ農業にダメージがあるということで慎重な意見も多い。しかし、隣の韓国ではアメリカとのFTA協定がアメリカ上下院で可決された。これにより、例えば自動車では日本よりも低い関税率で取引される。日本の製造業からすれば危機である。
前回の記事で、財政再建が必要な状況下でいかに民主主義を衰退させないかという命題が政治に突きつけられていると述べた。TPP参加はこれに深くかかわる。経済至上主義を押し進めた結果、民主主義が衰退したというグローバリズム時代を日本が経験しているからである。
これに対してなぜTPP参加を急がなければならないかについて以下の3つの理由が答えられる。
①財政再建のためには経済成長を前提としなければならない
②日本は資源産出国でないために、知識産業で栄えなければならない
③TPP参加交渉に出遅れてはならない
このような理由から、私はTPP参加は日本にとって必然であると考えている。問題は、TPPを押し進めた結果、どのように民主主義を担保するかである。拡大した低所得層を抱えていては、日本の民主主義の回復はありえない。前回にも述べたとおり、中間層の厚みが必要なのである。これこそがこれからの政治に突きつけられた矛盾する難題である。
これに対しては、「持続可能な自由主義社会」を目指すべきだと私は考える。経済至上主義を押し進めた結果、格差が拡大して社会が疲弊したのがこれまでのグローバリズムである。これからは、いったん失敗したり落ち込んだりしても、努力によって元の社会的地位に回復できる弾力性のある社会が形成されなければならない。したがって、社会の一定の部分は社会民主主義的な制度によって運営されなければならない。しかし、一方で高度な能力を持つ人材は不平を覚えるだろうから、新自由主義的な制度によって運営される部分もなければならない。このバランスが重要なのである。以前に述べたIBMの2:6:2の法則に通ずるものがあるだろう。
今回は私の政治スタンスについて概要を述べた。しかし、個別の政策について言及しなければ説得力はない。この「日本の政治を考える」ではTPP以外にも様々な各論において日本がどうあるべきかを追求していきたい。
-最終更新日: 2011年10月16日 (日) -
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これを書いているとき、日曜討論が放送されている。出演は枝野幸男経済産業相。通常は与野党の議員をそろえるのに対して枝野議員単独とは珍しい。しかし、政権与党におけるキーマンということで政策を問うには十分の放送内容だということだろう。上記の書籍は枝野議員の昔の著書があったので掲載してみた。
まず議論になっているのがTPP。おさらいだがTrance Pacific Partnership(環太平洋パートナーシップ)の略である。環太平洋の国々で統一的な自由貿易協定を結ぼうというものである。
これを皆さんはどのように思われるだろうか。どの国でも自国内産業、とりわけ農業にダメージがあるということで慎重な意見も多い。しかし、隣の韓国ではアメリカとのFTA協定がアメリカ上下院で可決された。これにより、例えば自動車では日本よりも低い関税率で取引される。日本の製造業からすれば危機である。
前回の記事で、財政再建が必要な状況下でいかに民主主義を衰退させないかという命題が政治に突きつけられていると述べた。TPP参加はこれに深くかかわる。経済至上主義を押し進めた結果、民主主義が衰退したというグローバリズム時代を日本が経験しているからである。
これに対してなぜTPP参加を急がなければならないかについて以下の3つの理由が答えられる。
①財政再建のためには経済成長を前提としなければならない
②日本は資源産出国でないために、知識産業で栄えなければならない
③TPP参加交渉に出遅れてはならない
このような理由から、私はTPP参加は日本にとって必然であると考えている。問題は、TPPを押し進めた結果、どのように民主主義を担保するかである。拡大した低所得層を抱えていては、日本の民主主義の回復はありえない。前回にも述べたとおり、中間層の厚みが必要なのである。これこそがこれからの政治に突きつけられた矛盾する難題である。
これに対しては、「持続可能な自由主義社会」を目指すべきだと私は考える。経済至上主義を押し進めた結果、格差が拡大して社会が疲弊したのがこれまでのグローバリズムである。これからは、いったん失敗したり落ち込んだりしても、努力によって元の社会的地位に回復できる弾力性のある社会が形成されなければならない。したがって、社会の一定の部分は社会民主主義的な制度によって運営されなければならない。しかし、一方で高度な能力を持つ人材は不平を覚えるだろうから、新自由主義的な制度によって運営される部分もなければならない。このバランスが重要なのである。以前に述べたIBMの2:6:2の法則に通ずるものがあるだろう。
今回は私の政治スタンスについて概要を述べた。しかし、個別の政策について言及しなければ説得力はない。この「日本の政治を考える」ではTPP以外にも様々な各論において日本がどうあるべきかを追求していきたい。
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