この問題において被害者は何を目的とすべきか 2
~集団ストーカー問題を未然に防ぐ制度設計の試論1~
-最終更新日:2010年10月15日(金)-
<はじめに>
前回、迷惑防止条例に焦点を当てて被害を防止する法整備がなされないことについて述べました。今回は、被害者が二度とこの国で被害を繰り返さないようにするために、どのように法整備を進めていかなければならないかについて述べていきたいと思います。
具体的には、被害者が被害の実態を一番よく知っているということです。従って、被害者が法律案を作るのが一番手っ取り早いでしょう。今回は、この制度設計について試論を展開してみようと思います。もちろん抜け穴だらけでしょうから、被害者の皆さんがお考えになっていただいて、訂正するなり新しい方法を考えるなりしていただけたらと思います。法整備には、①法改正と②新しい法律の制定があります。これらを駆使していかなければならないと思います。
今回は「ストーカー規制法」の改正について述べていきたいと思います。数回にわたって掲載する予定です。
「ストーカー規制法」の改定案について
まずは、「ストーカー規制法」の改正について述べたいと思います。法律に詳しい方ならご存知かと思いますが、「迷惑防止条例」で定められている「嫌がらせ行為」(広島県条例の場合第4条)と、「ストーカー規制法」で定められている「嫌がらせ行為」はまったく同一です。違うのは、条例か刑法であるかの違いだけです。
「ストーカー規制法」が制定された理由は「桶川ストーカー事件」にあるとされています。何度通報しても捜査も介入もしてくれなかった警察の瑕疵によって、若い少女の命が奪われました。社会的に許せないという風潮が強まり、事件が起きる前に強く介入できる「ストーカー規制法」が制定されました。
これと同じように、集団ストーカーについても、刑法による処罰と事前介入が行われれば、世の中の被害がかなり軽減します。この観点から、「ストーカー規制法」の改定案を作成してみたいと思います。
【ストーカー行為等の規制等に関する法律】
(平成十二年五月二十四日法律第八十一号)
【改正前】
(定義)
第二条
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
二
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
(罰則)
第十三条
ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
【改正後】
(定義)
第二条
この法律において「つきまとい等」とは、恋愛感情等に限らずいかなる目的であっても、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一
二
・
・
・
八
九
別の施行規則に定める方法によって行われる、見えないテクノロジーによる加害行為によって個人の生活を脅かすこと
(一号~八号は略します。ただし、集団ストーカーの加害行為を取り締まれるよう具体的な加害行為を施行規則に追加する必要があります。)
2
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、特定個人または不特定多数の者が、つきまとい等嫌がらせ行為を反復してすることをいう。
(罰則)
第十三条
ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。また、これにより被害者が疾患に陥るか、自ら命を絶った場合は、これらの行為に因果関係があるものとして、別の傷害罪や殺人罪によるものとする。
2
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
この改正の要点をまとめてみたいと思います。
①恋愛感情に限定されている目的をあらゆる目的に拡大する
現在の「ストーカー規制法」は恋愛感情に限られています。それ以外は「迷惑防止条例」が適用されます。集団ストーカー問題も、刑法で対処されるようになるためには、ストーカー行為の目的があらゆる目的に拡大されなければなりません。加害者は巧妙で、生活に恐怖感を与える目的ではなく、教育目的であるとか更生のためだと嘘をつきます。そのためには、このような行為それ自体が人権を侵害するものとして、あらゆる目的に定義が拡大されなければなりません。
②施行規則に集団ストーカーの嫌がらせの手口を追加する
まずは下記のホームページをご覧ください。
⇒ NPO法人テクノロジー犯罪被害ネットワーク アンケート統計 人的被害
⇒ NPO法人テクノロジー犯罪被害ネットワーク アンケート統計 見えないテクノロジーによる被害
このように、加害行為には多種多様の方法があります。特にテクノロジーによる被害は実態解明が必要でしょうが、それとともに施行規則にこれらの加害類型を追記する必要があります。そうでなければ取り締まれないからです。
③不特定多数による加害行為にも対処できるようにする
現在の「ストーカー規制法」は、特定個人が特定個人を恋愛感情に基づいてストーカーすることを前提に制度設計されています。集団ストーカーはこの前提を覆すもので、殆どが不特定多数によって被害者の社会的失墜を目的として行われます。不特定多数のただ一人を罰していたは埒があきません。加害集団全体に法が適用されなければ意味がありません。
④罰則の改定
以前にも述べましたが、これによってうつ病などの精神疾患に陥ったり、テクノロジーによる加害によって身体疾患に陥った場合には傷害罪が適用されなければならないでしょう。また、苦しみにより自殺してしまったら、その因果関係が認められて殺人罪が適用されなければならないでしょう。これについては、法律に追記する形をとりましたが、判例が出てこないと次につながりません。これについては、別の記事にて詳しく述べる予定です。
(なお、第十三条2号は親告罪であることを意味しています。親告罪とは、本人が告訴しなければ公訴の要件を満たさないことです。ほかの人が警察に言っても意味がないということです。これについても議論を要するところです。)
この法律の改正による被害の防止は、数回に分けて掲載する予定です。また、▼続きを読む▼ には前回の続きの被害記録を掲載します。よろしければご覧になってください。
最後に、被害者の方のご意見を募集しております。被害者と思われる方のコメントは、内容がよいものを中身を伏せた形で記事に反映させます。被害者にしか分からない体験をされている強みをもとに、日本社会がこの被害を法的にどう防ぐかについてご意見をいただけますと幸いです。
-最終更新日:2010年10月15日(金)-
<はじめに>
前回、迷惑防止条例に焦点を当てて被害を防止する法整備がなされないことについて述べました。今回は、被害者が二度とこの国で被害を繰り返さないようにするために、どのように法整備を進めていかなければならないかについて述べていきたいと思います。
具体的には、被害者が被害の実態を一番よく知っているということです。従って、被害者が法律案を作るのが一番手っ取り早いでしょう。今回は、この制度設計について試論を展開してみようと思います。もちろん抜け穴だらけでしょうから、被害者の皆さんがお考えになっていただいて、訂正するなり新しい方法を考えるなりしていただけたらと思います。法整備には、①法改正と②新しい法律の制定があります。これらを駆使していかなければならないと思います。
今回は「ストーカー規制法」の改正について述べていきたいと思います。数回にわたって掲載する予定です。
「ストーカー規制法」の改定案について
まずは、「ストーカー規制法」の改正について述べたいと思います。法律に詳しい方ならご存知かと思いますが、「迷惑防止条例」で定められている「嫌がらせ行為」(広島県条例の場合第4条)と、「ストーカー規制法」で定められている「嫌がらせ行為」はまったく同一です。違うのは、条例か刑法であるかの違いだけです。
「ストーカー規制法」が制定された理由は「桶川ストーカー事件」にあるとされています。何度通報しても捜査も介入もしてくれなかった警察の瑕疵によって、若い少女の命が奪われました。社会的に許せないという風潮が強まり、事件が起きる前に強く介入できる「ストーカー規制法」が制定されました。
これと同じように、集団ストーカーについても、刑法による処罰と事前介入が行われれば、世の中の被害がかなり軽減します。この観点から、「ストーカー規制法」の改定案を作成してみたいと思います。
【ストーカー行為等の規制等に関する法律】
(平成十二年五月二十四日法律第八十一号)
【改正前】
(定義)
第二条
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
二
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
(罰則)
第十三条
ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
【改正後】
(定義)
第二条
この法律において「つきまとい等」とは、恋愛感情等に限らずいかなる目的であっても、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一
二
・
・
・
八
九
別の施行規則に定める方法によって行われる、見えないテクノロジーによる加害行為によって個人の生活を脅かすこと
(一号~八号は略します。ただし、集団ストーカーの加害行為を取り締まれるよう具体的な加害行為を施行規則に追加する必要があります。)
2
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、特定個人または不特定多数の者が、つきまとい等嫌がらせ行為を反復してすることをいう。
(罰則)
第十三条
ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。また、これにより被害者が疾患に陥るか、自ら命を絶った場合は、これらの行為に因果関係があるものとして、別の傷害罪や殺人罪によるものとする。
2
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
この改正の要点をまとめてみたいと思います。
①恋愛感情に限定されている目的をあらゆる目的に拡大する
現在の「ストーカー規制法」は恋愛感情に限られています。それ以外は「迷惑防止条例」が適用されます。集団ストーカー問題も、刑法で対処されるようになるためには、ストーカー行為の目的があらゆる目的に拡大されなければなりません。加害者は巧妙で、生活に恐怖感を与える目的ではなく、教育目的であるとか更生のためだと嘘をつきます。そのためには、このような行為それ自体が人権を侵害するものとして、あらゆる目的に定義が拡大されなければなりません。
②施行規則に集団ストーカーの嫌がらせの手口を追加する
まずは下記のホームページをご覧ください。
⇒ NPO法人テクノロジー犯罪被害ネットワーク アンケート統計 人的被害
⇒ NPO法人テクノロジー犯罪被害ネットワーク アンケート統計 見えないテクノロジーによる被害
このように、加害行為には多種多様の方法があります。特にテクノロジーによる被害は実態解明が必要でしょうが、それとともに施行規則にこれらの加害類型を追記する必要があります。そうでなければ取り締まれないからです。
③不特定多数による加害行為にも対処できるようにする
現在の「ストーカー規制法」は、特定個人が特定個人を恋愛感情に基づいてストーカーすることを前提に制度設計されています。集団ストーカーはこの前提を覆すもので、殆どが不特定多数によって被害者の社会的失墜を目的として行われます。不特定多数のただ一人を罰していたは埒があきません。加害集団全体に法が適用されなければ意味がありません。
④罰則の改定
以前にも述べましたが、これによってうつ病などの精神疾患に陥ったり、テクノロジーによる加害によって身体疾患に陥った場合には傷害罪が適用されなければならないでしょう。また、苦しみにより自殺してしまったら、その因果関係が認められて殺人罪が適用されなければならないでしょう。これについては、法律に追記する形をとりましたが、判例が出てこないと次につながりません。これについては、別の記事にて詳しく述べる予定です。
(なお、第十三条2号は親告罪であることを意味しています。親告罪とは、本人が告訴しなければ公訴の要件を満たさないことです。ほかの人が警察に言っても意味がないということです。これについても議論を要するところです。)
この法律の改正による被害の防止は、数回に分けて掲載する予定です。また、▼続きを読む▼ には前回の続きの被害記録を掲載します。よろしければご覧になってください。
最後に、被害者の方のご意見を募集しております。被害者と思われる方のコメントは、内容がよいものを中身を伏せた形で記事に反映させます。被害者にしか分からない体験をされている強みをもとに、日本社会がこの被害を法的にどう防ぐかについてご意見をいただけますと幸いです。