スティーブン・スピルバーグ監督「シンドラーのリスト」
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:リーアム・ニーソン レイフ・ファインズ ベン・キングスレー 他
(1993年 米国)
-最終更新日:2010年10月25日(月)-
本日の読売新聞の「編集手帳」でドイツの戦前のホロコースト(大量虐殺)について触れています。あまりに大きな問題であるがゆえ、このブログの問題と重ね合わせて取りあげるのをためらいます。しかし、同様の性質を含んでいますので、目を背けるわけにはいきません。
ヒトラーによる大量虐殺を描いた有名な映画として「シンドラーのリスト」があります。これは、筆者が高校生時代に学校の指定図書として書籍版を読みました。その後、スピルバーグ監督の同作をレンタルショップで借りてみました。原題の映画としては異例なモノクロという構成を含んでおり、歴史の残虐性をより効果的に浮かび上がらせています。
なぜ、ドイツの国民はヒトラーを受け入れたのでしょうか。そのプロセスを克明に著した有名な書物に、エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」があります。
この書籍では、国民が「自由であること」から逃げるように全体主義へと陥っていくメカニズムが詳細に記述されています。自由こそが人類の悲願であるにもかかわらず、なぜ自らを縛り付ける独裁制を受け入れたのでしょうか。人類の永遠の課題でしょう。
これは現代社会にも言えることです。自由であり、民主主義体制であることを維持するのは、実はかなり労力を要することです。少なくとも、腐敗を見逃さない権力機構への不断の監視が必要でしょう。それを放棄してしまうことは簡単です。しかし、その怠惰こそが、このブログで取りあげている「集団ストーカー」のような非民主主義的な加害行為を横行させることにつながります。
いったんそのように社会が変質してしまっては、そこから健全な状態に戻すのがどれだけ難しいかをドイツ国民は経験しています。1951年に、バイロイト音楽祭でフルトヴェングラーがベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」を演奏しましたが、それまで中止されていました。この音楽祭が戦後のドイツ社会の再出発の象徴となるまで、暗黒のトンネルと潜り抜けてきました。光明を思わせるこの演奏は、今でも歴史上最高の歓喜の歌の演奏として語り継がれています。
また、喜劇王のC.チャップリンも「独裁者」でファシズムを批判しました。当時としては恐ろしいほどの勇気が必要だったことでしょう。松本人志氏をはじめ、今の時代のお笑い芸人が気骨の人だと見えるのは自分だけでしょうか。
ヒトラーの時代には戦意の高揚のためにワーグナーの曲が悪用されてきました。もともと壮大なワーグナーの音楽が忌々しい存在になってしまうのです。それは、ベトナム戦争を描いたフランシス・F・コッポラ監督の「地獄の黙示録」で使用されていることからも明らかです。昨日の朝日新聞に、米軍従事者が社会への就職などの受け入れで差別的な扱いを受けていることが記事にされています。ドイツ社会は現在でも映画の中に描かれたヒトラーの寛容な像を受け入れることができないと「編集手帳」で指摘しています。今なお戦争の闇は人類を覆っているといえるでしょう。私としては、戦争によって起きる不幸を最小限にするのが先進民主主義国家の役割だと思っています。
ここで話を「集団ストーカー問題」に戻します。この問題は一言でいうと、「民主主義社会の中にそうではない存在がローカルに生まれ、民主主義を蝕む病理」と表現することができます。民主主義の制度設計の裏を突いた犯罪群であり、これに対する処方箋をいまだ民主主義社会は見出すことができていません。歴史的に人類が経験してこなかったことでもあります。あまりにタブー性の強いホロコースト問題を、これだけの映画に昇華させたスピルバーグ監督を見習わなければならないでしょう。
最後に一言申し上げます。昨日の北海道5区補選は、民主主義的に選ばれた、大きな差を開かせての町村さんの勝利と見て間違いないでしょう。日本をはじめ、先進諸国が民主主義の黄金時代を取り戻し、護るという役割を遂行されることを心の底よりお願い申し上げ、末尾とさせていただきます。
【2010年10月25日追記】
スポーツも政治に大きく巻き込まれます。時代によってはオリンピックの開催を拒否されます。チャップリンの曲を使っているフィギュアスケートの織田信成選手や高橋大輔選手には苦境の中でお疲れさまですと申し上げたいです。両選手とも選手生命の危うい状況を乗り越えて選手を続けられています。高橋選手は大けがの後に復帰されて世界でトップのステップを獲得されました。両選手とも、頑張ってほしいの一言です。
出演:リーアム・ニーソン レイフ・ファインズ ベン・キングスレー 他
(1993年 米国)
-最終更新日:2010年10月25日(月)-
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本日の読売新聞の「編集手帳」でドイツの戦前のホロコースト(大量虐殺)について触れています。あまりに大きな問題であるがゆえ、このブログの問題と重ね合わせて取りあげるのをためらいます。しかし、同様の性質を含んでいますので、目を背けるわけにはいきません。
ヒトラーによる大量虐殺を描いた有名な映画として「シンドラーのリスト」があります。これは、筆者が高校生時代に学校の指定図書として書籍版を読みました。その後、スピルバーグ監督の同作をレンタルショップで借りてみました。原題の映画としては異例なモノクロという構成を含んでおり、歴史の残虐性をより効果的に浮かび上がらせています。
なぜ、ドイツの国民はヒトラーを受け入れたのでしょうか。そのプロセスを克明に著した有名な書物に、エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」があります。
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この書籍では、国民が「自由であること」から逃げるように全体主義へと陥っていくメカニズムが詳細に記述されています。自由こそが人類の悲願であるにもかかわらず、なぜ自らを縛り付ける独裁制を受け入れたのでしょうか。人類の永遠の課題でしょう。
これは現代社会にも言えることです。自由であり、民主主義体制であることを維持するのは、実はかなり労力を要することです。少なくとも、腐敗を見逃さない権力機構への不断の監視が必要でしょう。それを放棄してしまうことは簡単です。しかし、その怠惰こそが、このブログで取りあげている「集団ストーカー」のような非民主主義的な加害行為を横行させることにつながります。
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いったんそのように社会が変質してしまっては、そこから健全な状態に戻すのがどれだけ難しいかをドイツ国民は経験しています。1951年に、バイロイト音楽祭でフルトヴェングラーがベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」を演奏しましたが、それまで中止されていました。この音楽祭が戦後のドイツ社会の再出発の象徴となるまで、暗黒のトンネルと潜り抜けてきました。光明を思わせるこの演奏は、今でも歴史上最高の歓喜の歌の演奏として語り継がれています。
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また、喜劇王のC.チャップリンも「独裁者」でファシズムを批判しました。当時としては恐ろしいほどの勇気が必要だったことでしょう。松本人志氏をはじめ、今の時代のお笑い芸人が気骨の人だと見えるのは自分だけでしょうか。
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ヒトラーの時代には戦意の高揚のためにワーグナーの曲が悪用されてきました。もともと壮大なワーグナーの音楽が忌々しい存在になってしまうのです。それは、ベトナム戦争を描いたフランシス・F・コッポラ監督の「地獄の黙示録」で使用されていることからも明らかです。昨日の朝日新聞に、米軍従事者が社会への就職などの受け入れで差別的な扱いを受けていることが記事にされています。ドイツ社会は現在でも映画の中に描かれたヒトラーの寛容な像を受け入れることができないと「編集手帳」で指摘しています。今なお戦争の闇は人類を覆っているといえるでしょう。私としては、戦争によって起きる不幸を最小限にするのが先進民主主義国家の役割だと思っています。
ここで話を「集団ストーカー問題」に戻します。この問題は一言でいうと、「民主主義社会の中にそうではない存在がローカルに生まれ、民主主義を蝕む病理」と表現することができます。民主主義の制度設計の裏を突いた犯罪群であり、これに対する処方箋をいまだ民主主義社会は見出すことができていません。歴史的に人類が経験してこなかったことでもあります。あまりにタブー性の強いホロコースト問題を、これだけの映画に昇華させたスピルバーグ監督を見習わなければならないでしょう。
最後に一言申し上げます。昨日の北海道5区補選は、民主主義的に選ばれた、大きな差を開かせての町村さんの勝利と見て間違いないでしょう。日本をはじめ、先進諸国が民主主義の黄金時代を取り戻し、護るという役割を遂行されることを心の底よりお願い申し上げ、末尾とさせていただきます。
【2010年10月25日追記】
スポーツも政治に大きく巻き込まれます。時代によってはオリンピックの開催を拒否されます。チャップリンの曲を使っているフィギュアスケートの織田信成選手や高橋大輔選手には苦境の中でお疲れさまですと申し上げたいです。両選手とも選手生命の危うい状況を乗り越えて選手を続けられています。高橋選手は大けがの後に復帰されて世界でトップのステップを獲得されました。両選手とも、頑張ってほしいの一言です。
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